その後のベルゲン学派による普及活動などにより、この考え方が一般に定着したのはご存じの通りである。しかし、近年の研究はさらにこれを発展させている。新しい考え方は、低気圧が発達するにつれて、低気圧中心付近で寒冷前線が温暖前線からだんだん離れて立って行き、ある時点で温暖前線は東西に、寒冷前線は南北に近い角度を保つ。この前線の配置はT字形の骨つきステーキに似ていることから「Tボーン」とよばれている。そして、さらに発達すると低気圧中心で暖気核の隔離が起こる。ここが閉塞という考え方をとっていた古典的な前線論と大きく異なる点である。これはシャピロ-カイザーモデルとも呼ばれる(http://www.met.reading.ac.uk/~storms 参照)。
シャピロ・カイザーモデルにおけるTボーン前線(右から2番目)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Shapiro-Keyser_Cyclone.png
ただ、観測が発達してくるにつれて、個々のケース毎に細かな違いが多くあることがわかってきており、低気圧や前線の形態を定型的な汎用モデルにまとめることは、難しくなっているようである。なお、前線のベルゲン学派以降の発展については、このブログの「シャピロ・カイザー低気圧モデル」でさらに補足している。
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