2018年12月7日金曜日

数学者オイラー

 主にロシアやドイツで活躍した数学者のレオンハルト・オイラー(Leonhard Euler, 1707-1783)は、1757年に流体の運動を、ニュートン力学を使って微分方程式で表現する「オイラー方程式」を発表した。この流体力学の基礎方程式の発明によって、大気を含むあらゆる流体を力学を使って普遍的に扱うことができるようになった。またオイラーはニュートンが発見した物体の力学法則を、今日「ニュートンの運動方程式」と呼ばれている3次元デカルト座標を用いた2階の微分方程式の形で初めて表したことでも知られている 。オイラーはパラティナ気象学会が行った気象観測の呼びかけた際に、それに応じた学者の一人でもある。

オイラー

  オイラーはサンクトペテルブルグで流体の講義を行っていたが、その最後の講義ではいつも講義ノートを破いて橋から紙片をネヴァ川に流し、生徒にその動きを観察させていたらしい。ある年に数学者ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange, 1736-1813)がオイラーを訪ねてきてその最後の講義を聴いていた。オイラーがいつものように最後の講義で紙片を川に流すと、ラグランジュは橋から川に飛び込んで川の流れに乗って紙片の動きを観察したという[1]。

 流体力学や気象学では、オイラー的な見方(Eulerian method)とラグランジュ的な見方(Lagrangian method)という2つの考え方がある。この逸話が流体運動をオイラー的に観察するかラグランジュ的に観察するかの違いのいわれとなったそうである。
ネヴァ川


 

 

 

 

 

(次は「地球環境の長期監視の重要性」)

[1] James Rodger Fleming 2016: Inventing Atmospheric Science: Bjerknes, Rossby, Wexler, and the Foundations of Modern Meteorology, The MIT Press.


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