気球「Cirrus」による最初の観測は、ベルリンで1894年5月11日にドイツ皇帝ヴィルヘルムII世の出席の下で行われたが、気球は高度700 mにしか達せず、観測は失敗に終わった。2回目の試みは、同年7月7日に行われ、最低温度-58℃を観測したが、気圧計は85 mmHgまでしか測定できなかったため、その高度は本の4-8「測高公式の発見」の説明したラプラスの測高公式を用いて高度16.3 kmと決定された。しかし、換気システムの異常により温度記録に10°C程度の振動が乗った。記録には高度15 km以上でわずかな温度上昇が見られたが、加わった温度の振動のため結果はあまり信用されなかった(Rochas, 2003)。
アスマンは、翌1895年4月にも気球「Cirrus」で観測を行い、38 mmHg(高度約22 km)で-45°Cとかなりの高温を観測した。しかし、彼は極端な低圧下であったためこの値は正しくないと考えていた(Rotch, 1900)。この他にも、彼は自身の指導の下で1888年から1899年にかけて有人気球で72回もの高層気象観測を試みていたが、有人観測では高度8 kmまで達したものでさえ5回だけだった(Ohring, 1964)。
(つづく)
参照文献
参照文献
- Assmann-1902-Über die Existenz eines wärmeren Luftstromes in der Höhe von 10 bis 15 km, Sitzber. Konigl. Preuss. Akad. Wiss, Berlin 24, 495-504.(Thomas Birnerの英訳による)
- Rochas-2003-L'invention du ballon-sonde, La Meteorologie, n°43, 48-52(Google翻訳を利用した)
- Rotch-1900-Sounding the ocean of air. Six lectures delivered before the Lowell Institute of Boston in December 1898. - London: Soc. for Promoting Christian Knowledge.
- Ohring-1964-a most surprising discovery, Bulletin of the American Meteorological Society, 45, 1, 12-14.
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