2023年3月15日水曜日

世界初の気象ジャーナリスト:ダニエル・デフォー(1)

 1. はじめに

ダニエル・デフォー(Daniel Defoe, 1660-1731)は、小説「ロビンソン・クルーソー(1719年)」、「ペスト(1722年)」、「モル・フランダース(1722年)」、「ロクサーナ(1724年)」などの多くの小説で知られるイギリスの有名な作家である。「ロビンソン・クルーソー」の執筆には、世界を周回した自然主義者(兼海賊)ウィリアム・ダンピアが絡んでおり、そのことは本書の「3-6-1 ウィリアム・ダンピア」の項でデフォーと共に説明した。

デフォーがまだそれらの小説を書く前の1703年11月に、英国史上まれに見る大嵐が英国を襲った。この嵐は、今日でも英国に嵐が襲うと1703年の嵐との比較が議論されるほどの被害を与えた。

デフォーはその時の各地の被害状況を調べて、1704年に「嵐(The Storm)」という重要な作品を書いた(正式の名称は「The Storm or a Collection of the Most Remarkable Casualties and Disasters that happened in the late Dreadful Tempest both by Sea and Land(嵐、あるいは恐ろしいテンペスト*によって起こった海と陸上での驚くべき死傷者と災害の記録)」である)。

デフォーの「嵐」はその手法から小説ではなく、災害を克明に記録した世界初のルポルータジュ(記録文学)と見なされている。そのため、これは嵐による状況や被害を多くの人々へ伝え、後世に残す貴重な文学となっている。

現代では災害が起こると、多くのジャーナリストが現地から災害状況の放送などを行なったり、被害状況をまとめたりすることを行っている。いつどこでどういうことが起こったのかということは、その時代においても後世においても重要な情報となる。

当時そういった概念がどの程度あったのかは定かでないが、デフォーはこの作品によって、いわゆるジャーナリストの先駆けの一人となった。彼がこの世界初の気象災害のルポルタージュを書いた背景や状況を解説する。

ダニエル・デフォーの肖像画
http://www.nmm.ac.uk/collections/displayRepro.cfm?reproID=BHC2648

なお、17世紀の英国では、ペストの流行ロンドン大火があった。ペストの流行では本の3-4-2 ニュートン力学の誕生」で述べたように、疎開先でニュートンが万有引力を発見した。ロンドン大火では、「3-3-3 イギリスの王立学会とフック」で述べたように、後に気象学者として活躍するジョン・フックが測量官として街の復興に活躍するなど、後の気象学と大きく関連する出来事が起こった時代だった。

*当時、当時の嵐の強さではテンペストは最強のランクと考えられている。

つづく

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