2020年3月30日月曜日

気象予測の考え方の主な変遷(2)天文観測と占星学の登場

 地球から見ると、惑星は順行、留、逆行など複雑な動きをする。アリストテレスの宇宙モデルでは、これらの惑星の細かな動きは説明できなかった。その後、エジプトのプトレマイオスは、アリストテレスの宇宙モデルでの惑星軌道の考え方を観測に比較的合うように改良した。彼の著「アルマゲスト」によって、観測に基づいた計算からいつどの惑星がどこに位置するかを、誤差は大きかったものの特定する(予測する)ことができるようになった[1-2プトレマイオスによる天文学と占星学の始まり]
プトレマイオスの想像画
 古代ギリシャ時代の天上界が地上界に影響するという考えは、人間の生き方にも大きな影響を与えた。人間も同じように天上界の影響を受けると考えた人々は、運命決定論を唱えた。運命決定論とは、例えば人が生まれた時の星座、つまりその時の太陽の位置の背景にある黄道上の星座によって、その日や将来の運命が一意的に決まっているといった類いのものである。この考え方は今でも「・・・の星の下に生まれた」のような表現で日本に残っている。

 プトレマイオスは、著書「テトラビブロス」で天上界による地上界への影響を述べた。これは天上界の地上界への法則性を探る占星学の基本となった。そして天体観測による星々の位置関係に基づいて未来を予見しようとする占星術が編み出された。また同様の考えは、「天体の位置に従って気象の原因を考えるまたは予測する」という占星気象学を生み出した[1-2プトレマイオスによる天文学と占星学の始まり]
黄道十二宮の描図。中央は二輪戦車上のアポロ(テトラビブロスより)
 これ以降18世紀頃に至るまで、大勢が天体の位置と地上の現象との関係を研究したが、法則性は得られなかった。しかし、過去や未来の天体の位置に基づいて未来や幸運を占う占星術は次で述べるように盛況になっていった。この占星術はプトレマイオスの天体運動論があって初めて可能になったものである。

つづく

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