2019年4月2日火曜日

ウィリアム・ダインス(2)テイ鉄道橋大惨事について (William Dines 2: Tay bridge disaster)

1879年12月28日夕方に、強い低気圧がイギリス北部を横切る針路で北西ヨーロッパへ進んだ。午後7時頃、イギリスのスコットランド北東部のテイ湾にかかる全長3264 mを誇る当時世界最長の鉄道橋だったテイ鉄道橋(Tay bridge)は、この嵐によってちょうど橋を走行していた旅客列車もろとも海に崩落して大惨事となった。およそ75名がなくなったとされる。19時頃の気圧は982 hPa、風速は毎秒30~35 mと推定されている。ただ残った鉄骨の上向きに引きちぎれた状況から、竜巻が起こっていた可能性もあった(Burt, 2004)。なおテイ鉄道橋は1887年に再建され、それは現在でも使われている。
崩落する前のテイ鉄道橋

崩落したテイ鉄道橋

テイ鉄道橋の大惨事は、風が構造物へ及ぼす風圧の正確な測定に関する気象学的な議論と、その風圧に耐える設計に関する技術的な課題を提起した(Pike, 1989)。1885年6月に王立気象学会によって「風力調査委員会(Wind Force Committee)」が作られた。この大惨事とその後の風力に関する議論は、ダインスに風が構造物に与える圧力の影響に関する興味を再び抱かせた。彼はこの委員会のメンバーとして活躍し、それはまた彼自身の将来の方向性をも変えることとなった。

 (つづく

 参照文献

Burt-2004-The Great Storm and the fall of the first Tay Rail Bridge, Weather, 59, 12, 347-350.
Pike-1989-One hundred years of the Dines pressure-tube anemometer, The Meteorolo ical Magazine, 118,1407, 209-214.


0 件のコメント:

コメントを投稿